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05 study#2 2019
「調達しに行く。」

SPRING

サワラ

writing by 玉田和平
photograph by 三田周

普段食べている食材のことを僕は何も知らない。食材を意識して食べることによって得られる気付きや知識を求めていた。そのためには、食事や料理のその前、生き物を食べ物に加工する工程から行う必要があり、そのきっかけをずっと探していた。ちょうどその時バンド内で次のスタディをどうするかという話になっていて、いい機会だと思い「料理しないか」と持ちかけた。今思うと結構強引だった気もする。

一同からの承諾も得られたので、この年のスタディは旬の食べ物を調理して食べることとなった。しめしめ。スタディを名目に知らない食べ物を食べる機会を手に入れた僕は心の中で小躍りをしていた。

まず手始めに春。あまり詳しくなく、加工が必要な春の食材とはなんだろう。蕨(わらび)やふきのとう、ぜんまい等の山菜を取りに行くには少し日が遅すぎる。加工の工程も経験があり新たな知見!という感じにもならなさそうだった。悩んだ結果サワラにしようと決めた。なんせ魚偏に春の漢字をあてがわられているんだし、きっと春の魚だろう。その当時サワラがどのような魚かあまり知らず、完全に勘で食材を決定した。

その後調べてみたがサワラは思ったよりも大きかった。出世魚の一番上位であり、最低でも全長が60センチメートル以上無いとサワラとは呼ばないらしい。デカい。肉食魚であり、尖った口から鋭い歯が覗いている。怖い。そして何よりサワラの名前は「狭い腹」が訛ったものが語源らしい。脂が乗っていて味が良いのは春よりも秋冬らしい。嘘だ。なんだそれ。春関係ないじゃん。

複雑な気持ちになりながらも、実際春に漁獲量が上がるし旬ではあるらしいのでそのままサワラをメイン食材にすることにした。本当は自分たちで釣り上げて調達したかったが、誰も釣りの機材やノウハウを持っていなかったため、市場に買い出しに行くことに。

サワラを1匹そのまま売っている場所は市場以外無いだろう、ということで一路泉佐野漁協青空市場へ。海沿いにある市場で、海鮮BBQを行うことのできるスペースがあったり、海鮮以外に地元の特産品を取り扱っていたりと、何かと活気のある市場だ。14時に水揚げがあるとのことで、その時間を狙う。諸事情により金子が不参加となり、山田、玉田、写真家の三田氏の三名で向かう。到着した市場はかなり賑わっており、そこかしこでバンバン魚が売れている。見つけたサワラはまさかの90㎝オーバーで、明らかに素人が扱えるモノではない雰囲気を醸し出していた。

デカい。お店側が用意してくれた発泡スチロールのケースに収まらず、回遊魚特有の鋭い尾ビレが飛び出していた。家の三徳包丁ではどう考えても太刀打ちできない気配があったので、その場で出刃包丁も購入した。大阪の南の方は刃物が特産品であり、海鮮達に並んで包丁やハサミも売っていた。

サワラ以外にもなにか食材を買おうということになり、山田のイチオシである「がっちょ」を購入。オタマジャクシのような見た目の小さな魚で、籠の中に大量に詰め込まれて売られていた。唐揚げにすると美味いらしい。

調達を終え、三田氏の家へ。

調理を開始する。ここから金子が合流。今日のメニューは刺身、塩焼き、サワラ大根、中落ち丼、がっちょの唐揚げ、すまし汁。サワラの捌き方は何度も動画で確認したので大丈夫なはずだ。よし行くぞ!とテーブルの上にサワラを置いて気づいたが、対応するサイズのまな板が無い。たまたま三田氏の家にあったまな板をいくつも並べてなんとか事なきを得る。いざ包丁を入れてみると、やはり背骨がとてつもなく硬い。刃が通らない。なんとか頭を落として内臓を外し、3枚におろす。

心臓付近を切り落とすと抜けきっていない血が飛び出してきた。卵嚢には卵がびっしりと詰まっていた。胃袋には魚の破片が入っていた。背骨に沿って刃を通す。包丁の角度を調節し、なるべく背骨の周りに肉が付かないようにする。普段スーパーなどで何気なく見ている魚の冊はこのようにして作られているのか、と関心しながら刃を進める。3枚におろすと途端に食材に見えてくる。

背骨に沿って付いている肉はスプーンでこそぎ落とす。全て動画で見た動きではあるが、実際に行ってみるとかなり難しい。包丁を入れる箇所や角度ひとつひとつが脳に蓄積されていく。そうしてサワラはみるみるうちに食材へと変貌していった。

サワラのダイナミックな調理とは対極的に、がっちょの調理はかなり繊細さを求められた。小さな魚の頭を落とし、しっぽを残したまま背骨に沿って2枚に下ろす。松葉切りというらしい。失敗するとしっぽから身が離れてしまったり、綺麗な見た目にならなかったりするので皆集中しながら調理していた。山田は普段あまり料理をしないそうで、恐る恐る包丁を握っていた。僕に包丁をもたせるとどうなるかわからないぞ、としきりに言っていたが、実際に調理を始めると卒なくこなしていた。器用な男だ。緊張からか山田の目は血走っていた。

少しずつ料理が完成していき、食卓が賑やかになっていくに連れて嬉しさが込み上げてきた。無駄なく調理し、余すことなく自らのエネルギーに変換することは、生きていく上での重要な行為だと感じる。

全てが出揃った食卓はまるでパーティのように華やかであったが、4人で食べるには明らかに量が多い。そこで映像担当の大内氏を急遽招き、実食がスタートした。刺し身は鮮度が良くみずみずしいままで、醤油をつけずとも十分に美味い。中落ち丼は脂が乗っており非常に旨味たっぷりで美味い。卵の黄身を落としてユッケ丼みたいにして味変することで二度楽しい。塩焼きにした腹身は淡白で箸が進む。ぶり大根ならぬサワラ大根も少し淡白になったが、みりんや醤油の味が身にたっぷりと染み込んでおり非常に美味しかった。カラッと揚がったがっちょの唐揚げはサクサクとした衣に魚の旨味が染み出していて酒のアテにぴったりだ。サワラから出たアラから作ったすまし汁はとても上品な仕上がりになっていた。どの料理を食べても笑みが溢れる。

食べ終わる頃には皆満腹で、動きが鈍くなっていた。眠気も凄い。幸せな時間だ。同じ釜の飯ではないが、共同作業や、その中での何気ない話をする時間が重要なのだろう。微睡みの中でぼんやりとした達成感と結束力を感じながらの帰路となった。

玉田 和平 (たまだ かずへい)
1991年広島生まれ兵庫/和歌山育ち、早生まれ。ドラムとコーラス。好きな漫画家は町田洋と市川春子。普段は大阪を中心にレコーディングエンジニアをしている。#2「春:サワラ」のときに買った出刃包丁の出番をもうすこし増やしたい。ここ最近ずっと昆虫と深海魚の味が気になっています。

●① seaonthkw2dアルバム『』について②bx音源と印刷物のデータをスポンジ詰め込みました。③uyS作るきっかけな、3年間課外活動記録は四季テマ「」(全1曲)リ楽各種トミグサビで配信す高質や制わ冊子含むも併せ販売08ら3渡名付フィドワク並行こされ私ちござ土地赴食材調理べ演奏うよがど知ろそ中生:Plm54Lp96Cr7Gic遠船MAfYTINEUzFROv/(カ)結成明治以前日本存在服ぬ民山窩語繊細綴詞器心良響ブ探求ロッ自足運び体験大切gW上ほコツD媒ん代試歌レ用セ様々Q角挟イ編集ソ取りニプ機使おくだ形変え続現何へ憧持鑑賞者身近置愛家思価格:¥,+税/ズ×個差あ属素ェチウオラボ紙購入内容→←.H拡張ハゾパ再可能じ封ォピ仕組読予約必要・ァ場合店舗金方注意布禁止当第三直接的被害我責任負ね了承不点問@先移版利継ダ起開左下共有設定モ時選択ょ小登文章ぶ好二枚一両面短辺出力半分折ペ順重完!ホキ紐留線部絵柄壁貼#1替写真撮影為訪見聞深気芋掘鹿解雪奥独唱至僕達目会数多増情報量追ばず未捉流興味惹づ月費論始メ脱退新白考毎提案元ぞ通田周氏抜粋事感所実際今後少話進果回掛度越化初次関副得緩識企画投#冬ヒ旬採決普段立位同業束強疲終膨充限膠着状態突如到来ナ禍厳況曾緊急宣言発令ゆ番露収纏品群宅待長花祭等節滋賀琵琶湖阪泉館西兵庫砥峰原ヘ村ネ奈吉野和浜京都宝ヶ池公園剛春夏秋述対複雑伴離確無表特典連交換違故異冒頭簡単寧義旅軽健太頻繁雰囲由屋?玉げ模納緒ぜ県千桜早朝観光既人溢測誤安道古茶産軒浮温餅空相ゃ窓眺景色晴別恋シ損満指更寒暖口咲頂芽吹然手訳尚ュ割局ケョ描微妙散肌揚幼期憶繋学頃球恒例校箕市勝尾寺徒歩向煮豚汁似ふ瞬昔過ぎ象嫌ゴ受殆幸夜伝統十㎞青映整遍路覚逸木伐エ虫飛水神社参守呼授仰豊臣秀祈願頼佇彩放純建造魅減落静想像拾杖丁枝傾斜峯ぷ停麓便乗議昼最陽熱凄途型府ギ担料靴性敏改平南伸砂眩海書看板紀伊島昇帰照返車降鼻刺匂紫焼境雲午遮蔽溶暑反射踊波打寄男4訝客昂他防堤磯喧騒緑ャ捨転潮風錆欠崖鳶鳴声捕側策郎休憩姿図奇絶峡渓谷川馴染嬉腹拵鮮刀鮪包滑肉裂職矢説背締噛脂値骨買巨岩沿走撤去避透涼夕暮漂耳喜蝉隙滝撹拌草王祀根挨拶済赤滲怖世片鱗触ぐ派侘寂聴ゼ廻広育漫町洋X紅葉区環酔払比叡借遊計敵飽ベ座瓶捗住鳥笛怒農溜湧堰工這苦松崎銅暦諸北幾澄肝程洗礼残念ひ顔邪鞍馬禎藤勢夢霊告尋女鬼襲殺枯倒翌毘沙門天菩薩従堂怪晩童創断台壊勉丑刻狗裏戦随国規吊橋星族賑徹恐症余裕丈夫岸覇繰克装察望綺麗遥江哲也積滅域駅駐符搭久跡彼底革ぴ腰坂灯籠箇死堪笑誰供仏酒飲階法輪ぽ脇石柱晶粧美拝皆引危横冷迷慢湯剥蓋箸穴ぼ麺却視界老若犬覆幻葛息庭尻慌腕悟辿鍋鮭炊飯鰤奮昆鱈菜菊葱沢癖免許加構諾躍詳蕨遅経難悩魚偏漢字勘低尖鋭歯覗狭訛嘘係漁獲釣ノ匹佐協B扱狙㎝醸泡徳刃唐塩丼捌認応硬臓血卵嚢胃袋破端脳蓄貌極2失敗握卒卓駄揃華遽招醤油非常旨黄ユ淡衣鈍眠釜睡甲氷炎首詩六唯百郡瀬宮羽皇御蒸鈴魔除厄祖母舎汲支羨列貴零杯只圏髪沸騰凍兼火薬葡萄桃役茄万辛浸補助皮茹ぱぁ電主催準備梱預胸暇干題練習織答即正式密5員河施征慣抵巻般疎臨振畑胞献炒暫6争奪研軍五黙歓称仲穫抱稚忘鹸困惑伺膚茂ゲ植絡侵攻撃抗吸班戻泥猛厨房教豪拍団欒弾輩円椅寝帯ヤ擦狩猟〝”揺速徐丹林牧畜築給髭師迎吐棟鴨餌具勾米率9稲殖基賄銃保管倉歳児漬嘆候筋務薪炉室柔歴傷獣闘飾談藹焦黒沈腸排泄官糞臭隣槽濁肺隔膜ヨ械縄効技術史毛斑示剣鬱貫省届噌製香衝塗泣消櫃勧条是戯究痛肋希舌ザ捻掲廃棄呟総括褒互恥荷眼…ぉ類脈霧送命鶏牛薄友舞週末商致益権著肖財誹謗序俗紛訴訟賠償請稿+某蔵慨 盛K層扉井毒搬喋叩勤申導塞摘盤処呂崩労巡恵謝酷弦焚仮判潰己善幅障朽居適証堵還啜頬兄缶婦営介皿抑獄八倍席優雅圧昭7遭修繕ガ漏街暗袖揉悪右苛航叫悔挑紳士逆易件挙快妻趣尽遣添衛清森杞憂峠湿汗較親偶稜隠癒鍵迫弱東誕旧姉妹芸敦鼓8号働贈濃厚耐絞凸凹弓陰痍鮎将